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自営業やパラレル・ワーカーの「もっとできる!」を図解思考で底上げする

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有限会社テオリア 図解思考コンサルタント 池田秀敏 コツコツと「強み」を積上げて自由に働く人を応援!

こんな体験から 安易に成果主義を導入した二代目会計事務所の実情

成果を具体的に定義することなしに、単純に「お金=成果」にしてしまいました


有限会社テオリア 図解思考コンサルタント 池田秀敏流行り始に、成果主義を導入した会計事務所がありました。

昔、成果主義が流行ったことがあります。
その流行り始めに、成果主義を導入した会計事務所がありました。
その所長は、税理士の資格を取った二代目です。

所長の彼が、こんなことを言いました。
 「職員が、電話を取らなくなった」
 「職員が、掃除をしなくなった」
ということです。

そうだろうな〜と、思いながら、
 「どんな成果主義を導入したんですか?」
と聞いてみました。

簡単に言うと
 ・顧問先を職員に割り振った
 ・そこからの売上をもとに職員の給料を計算する
と言うことです。
想定通りでした。

これだと..
電話を取らなくなる、掃除をしなくなるのは普通のことです。
でも所長の彼には納得できないようです。

電話が鳴ったらすぐに取るべき
早めに来て事務所の掃除をするのが当たり前
と思っています。

私からしたら、
職員にとって電話を取ることも、掃除をすることも
給料に影響する評価の対象外なので、
やらなくなって当たり前です。

自分の担当の顧問先からも電話は来るだろう、
それはどうなんだとと反論もしてくるのですが、
それも間違いです。

優秀な職員ほど電話を取りたくありません。
優秀な職員は、仕事の流れが分かっています。
事前に、担当する顧問先に連絡を入れて、
スムーズに仕事が進むように段取りをしています。
ですから、急に電話が来て
「すぐに..何とかしてくれ..ここはどうなってる..」
というような電話がくることはありません。

かかってくる電話は、
 ・優秀でない職員の担当する顧問先からの急な要件
 ・所長への電話の取り次ぎ
 ・TKCなどからの電話
 ・売込営業の電話
などがほとんどです。
自分の給料に影響するものは、ほとんどありません。

会計事務所を探している会社の社長から突然電話が来て、
顧問契約となり自分が担当になると言うようなことは、
ほとんど期待できません。

ですから、優秀な職員ほど電話を取りたくないのです。
優秀でない職員は、自分にかかってくる、急な要件の電話に、
「悪い、顧問先を割り当てられた」と嘆きます。
そして、積極的に電話には出たくないのです。

掃除も同じです。
給料の中に掃除は含まれていません。
だから、誰もやりたくないというより、
やる必要がないと思っています。

問題なのは..
職員同士で仕事を教え合うことが無くなります。
忙しい仕事を分担したり、協力しあうことが無くなます。
気を利かせたり、応援することが無くなります。

これは、仕方のないことです。
自分のが応援しても給料に反映されない。
逆に応援されたら、その分を給料から引かれて、
応援してくれた人に回すことも必要になります。

でも、二代目所長は不満です。
彼には、そうなることが想定できなかったようです。

でも、成果主義を入れて
担当する顧客からの売上以外は評価しないと決めたのですから
しごく当然のことです。

その先、どうなったか?
話は聞いていませんが、成果主義を止めたようです。

では、成果主義は、良くないのでしょうか?
職員のやる気をなくす制度なのでしょうか?

成果主義が悪いのではありません。
問題は「成果」の定義が、甘すぎたのです。

「成果」って売上の金額でしょうか?
確かに売上の金額は成果です。

売上を上げて、利益を出さなければ組織を運営して行けません。
職員に給料も出せません。
もちろんです。

でも、「成果」は売上の金額だけではありません。

自営業になって、ゼロから始めると分かります。
 ・自分を知ってもらうこと
 ・自分に興味を持ってもらうこと
 ・自分を信頼してもらえる関係になること
 ・会社を知ってもらうこと
 ・仕事を知ってもらうこと
 ・電話やメールする相手が増えること
 ・飲み会に誘ってもらえること
 ・会社に訪ねて来てくれる人がいること
 ...
実は、これらはすべて「成果」です。

ただ、直近の売上につながりません。

1年後、3年後、5年後、10年後の売上に
つながるかもしれません。
つながらないかもしれません。
でも、これらは間違いなく「成果」です。

こう言う関係が広がっていくと、
 「こんな案件があるんだけど」
 「こんなことで、困っている人がいるんだけど」
 「こんな相談ができる?」
とつながっていく可能性があります。

人間関係としての成果を積上げ信頼関係を築いていないと、
そんなことは期待出来ません。
これは、間違いなく成果です。

親が創った会計事務所を引き継いだ彼には、
ゼロから仕事を築いていくための「成果」の積み上げが理解できていませんでした。

目の前の売上だけを「成果」と考えて管理する仕事もあるのかもしれません。
でも、会計事務所のように地元で信頼を積上げて、
継続的な顧問契約をする業態では、
売上金額だけを「成果」と定義することでは難しいと思います。

「成果」をしっかり定義しないで、
お手軽な成果主義を導入してしまったのです。

私の仲間うちでは..
「サラリーマン・コンサルタントの口車に乗った」と話しています。
仕事経験の浅い、若いコンサルタントが頭で考えた、
成果主義を、何の疑問も持たず入れてしまったのです。
成果主義が悪いのではありません。

では?
「成果」の定義をしてくれ!
と要求されたとします。

私も、「成果」の正しい定義を一言で説明することはできません。
お客様との接触の場面を定義して、そこでどう感じてもらうか!
場面・場面で定義することが必要だと考えます。
それも最初は仮説レベルであり、現場で考えながら修正していく
ことが必要です。

問題なのは、正解を他人教えてもらおうとすることがダメだということです。
正解を探しても見つかりません。
一つの正解はありません。
最適解、納得解しか、出せないテーマです。

その上、会社によって最適解・納得解は違います。

方法論として勧めているのは、
 ・社員が集まって
 ・最適解、納得解を考える
 ・そして、それを改善し続ける
というやり方です。

社員は、社長に「こうしろ!」と言われたら嫌です。
その上、その事で給料に影響するとなったら...
「こうしろ!」と言われたことに不満です。
ああだ、こうだと不満を言います。
「だったら自分で考えろ!」
と社長に言って欲しいと思います。

社員が、自分たちで「成果」の定義を考え続ければ良いんです。
そうです考え続けるんです。
試しに導入して、どんどん変更していけば良いんです。

現場の社員も
仕事をしっかり理解している人なら、しっかりした意見が言えます。
仕事を作業レベルでしか知っていない社員は、まともな意見は言えません。
建設的な話し合いをすると、社員のレベルも分かります。

実は、この話し合いをすること自体が大切です。
この会議で、社員が仕事を深堀して考えることにつながります。
この考え続けることが大切です。

この話し合いで「成果」を
 ・定義して、
 ・実行して
納得いかなかったら改善するのです。
常に、改善し続けることが良いのです。

その会計事務所が、こう考えて実行したら?
もっと違う結果が出ていたと思います。




●賃金で社員のやる気を高めようとすると..
優秀な人は、
教えると、自分の給料の取り分が減ります。
自分だけが一番という状態を維持しようとします。
当然です。

すると..
優秀でない人は、だんだんと嫌になって辞めていきます。
そして新人が入ってきます。
でも、成果の出る方法を教えてもらえないので、
期待する成果は上がりません。

そうなると..
一握りのできる人と、多数の新人になっていきます。

その次には..
給料にできる原資の総量が小さくなっていきます。
次第に、できる人の給料も減ります。
そして、できる人が辞めていきます。

その結果、
仕事のできない新人集団になって組織力が落ちます。
仕事のノウハウも無いので、復旧は難しくなります。
経営者・幹部が昔に戻ったように頑張らないといけません。


●社員の成長に貢献することを評価すると...
優秀な人は、
自分の知っていることを教えることが評価につながります。
教えて損はありません。
教えたことで実績が上がれば、評価もあがります。
その上、「教える」ことは、「学ぶ」ことにつながります。
この善循環を目指していくことをお勧めしています。



それには、仕事を仕組みとして捉えることが必要です。
売上金額だけを「成果」と定義した
「成果主義」の導入は、組織の成り立ちを大きく変えます。

そこを考えないで、
成果が上がらないのは従業員の意慾・能力の問題だと
安易な「成果主義」を導入してしまうと
組織の信頼関係が崩れ、チームワークができなくなります。
組織内の信頼関係だけならいいのですが..
それは顧問先との信頼関係にも影響を及ぼします。

新しい仕組みを導入する時は、
関係者の立場を理解し
どう行動するのかシュミレーションしましょう。

経営者側の一方的な、上から目線の思い込みだけだと
上手くいかない場合が多いのです。



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