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どんなことから、今の図解思考に行きついたのか、思い出話を踏まえて書いていこうと思います。

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0027できるか試すのに「わが社の未来」とは???  


「この人に頼んで、本当に大丈夫だろうか」

仕事を依頼するとき、そんな不安を感じることってありますよね。
特に、まだ出会ったばかりの相手ならなおさらです。
実績を聞いても、説明を受けても、
「うちのことを本当に分かってくれるのか」「期待したものを出してくれるのか」は、
簡単には判断できません。

だから「まずは試してみたい」と思うのは、とても自然なことです。
依頼する側からすれば、失敗したくない。お金も時間も無駄にしたくない。そう考えるのは当然です。

ただ、その「試し方」によっては、かえって本質が見えにくくなることがあります。
今回は、私が30代半ばの頃に経験した、少し苦いけれど大切な学びになった話です。

「どれだけできるか分からない」と言われて


ある交流会で、40歳手前くらいの社長さんと出会いました。
当時の私は、「事業を図解で分かりやすくする」という仕事を始めたばかりでした。

その社長さんが興味を持ってくださり、後日会社を訪問することになりました。
創業の経緯、これまでの実績、現在の主力事業。
丁寧にヒアリングを重ねていくと、営業資料として活用できそうな材料は十分にそろっていました。

ところが、最後に社長さんがこう言ったのです。
 「池田さんが、どれだけできるか分からない」
出会ったばかりですから、不安になるのは当然です。
「できると言われても、本当にできるのか分からない。だから試したい」
立場を変えれば、まったくその通りなんですよね。

そこで私は言いました。
 「では、お試しで何か無料で図解しましょうか?」
すると返ってきた言葉が、今でも忘れられません。

「わが社の未来を図解してほしい」...????

なぜ“未来”を試すのか?


確かに、ヒアリングの中で未来の話も出ていました。
 「こうなりたい」
 「こういう会社にしたい」
 「こんな方向へ進みたい」
そういう話はありました。

ただ、それはまだ願望の段階でした。
率直に言えば、その場で出てきた思い付きの断片的なイメージに近いものです。

もちろん、願望が悪いわけではありません。
むしろ未来は、最初は願望から始まります。
「こうなれたらいいな」「こんな会社にしたいな」という思いを具体化できなければ、
事業の未来なんて描けません。

願望のままでは図解できないのです。

図解は、ただきれいな図を描く作業ではありません。
 「想い」を明確な言葉にして、
 言葉同士の関係性を探して
 構造として整理することで、「想い」の完成度を高める
構造で理解することで分かりやすく表現する技術です。

つまり、図解するには材料が必要です。

しかも、ただ情報があるだけではなく、それらがどうつながっているのか、
何が原因で何が結果なのか、何が上位概念で何が具体策なのかが見えている必要があります。

図解は「きれいなデザイン表現」ではなく「発想と構造化で創造する」ことです


図解というと、「いい感じにまとめてくれるもの」と思われることがあります。
もちろん、分かりやすく見せることは大切です。
見た瞬間に理解できる表現にすることも、図解の大事な役割です。

でも、その前に必要なのは構造的な理解です。

たとえば、要素は何か。
要素同士はどう関係しているのか。
因果関係なのか、階層関係なのか、対立構造なのか。
どこが起点で、どこに向かうのか。

こうしたものが見えて初めて、図解は成立します。

反対に、まだ明確に定義されていないもの、前提が共有されていないもの、仕組みとして整合性が確認できていないものは、図にしても曖昧なままです。

むしろ、図にしたことで分かった気になってしまう危険すらあります。

「未来を図解してほしい」と言われたとき、私が感じた違和感はそこでした。
社長の頭の中に、論理構造として未来が存在しているなら図解できます。
でも、断片的なイメージのままなら、私が勝手に補う部分が大きくなります。

そうなると、それは社長の未来ではありません。
私が想像した未来になってしまいます。

そしておそらく、完成した図を見た社長はこう言うと思います。。
「いや、そういうことじゃない」

しっかり考えていないで、その場の思いつきが湧きあがるのです。

「無料のお試し」ではできないことがある


未来を図解するには、相応の打ち合わせが必要です。
どんな会社にしたいのか。
なぜそうしたいのか。
その未来に向かうために、何を変えるのか。
何を残すのか。
どんな顧客に、どんな価値を届けるのか。

こうした問いを一つひとつ掘り下げる必要があります。

未来を図解する前に、未来を設計する段階が必要なのです。
この工程が重要で、大きな負担がかかる部分です。
無料のお試しできる範囲を超えています。

でも当時の私は駆け出しで、その必要性の説明がうまくできませんでした。

社長は「未来については十分話した」と感じていたのだと思います。
だから私が、「できない言い訳をしている」ように映ったのかもしれません。

結局、その会社とはそれきりになりました。

今振り返ると、悔しさもあります。
もっと分かりやすく説明できていれば、違う展開があったかもしれません。
でも同時に、あの経験があったからこそ、今の自分の考え方が固まったのも事実です。

今なら、こう言います


今の私なら、きっとこう言います。
「未来を図解表現する前に、未来を設計しましょう」

図解は設計図です。
そして設計図には、設計思想が必要です。

どんな建物を建てたいのかが決まっていないのに、設計も施工もできません。
同じように、どんな会社にしたいのかが構造化されていないまま、
「未来の図解」を表現することはできないのです。

「わが社の未来を図解して」
この一言の裏には、実は大きな問いが隠れています。

自分でしっかり考えないで、手軽の何とかならないか?
と思っているのです。

長く、この仕事をしてくると..
親からもらった会社を経営している人に、このタイプがいることがあります。

それが見えた場合は..
仕事の依頼が来たとしても「この分野、不得意ですから」と
笑顔で遠ざかることにしています。



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