【今回のテーマ】
「一緒にやろうよ!」と近づいてくる人がいる
というお話です。
その言葉が救いに聞こえるときほど、少し立ち止まりたい話です
自営業をしていると、ふと心細くなる瞬間があると思います。
「自分のやっていることには価値があるはずなのに、なかなか広がらない」
「営業さえうまく回れば、もっと届けられるのに」
そんなもどかしさを抱えること、ありますよね。
そんなときに、誰かが笑顔で
・「一緒にやろうよ!」
・「協力するよ!」
と声をかけてくれたら、嬉しくなってしまうものです。
やっと分かってくれる人が現れた。
仲間ができた。
ひとりで背負わなくていいかもしれない。
そう思うのは、すごく自然なことなんですよね。
でも残念ながら、こういう話は、たいがいうまくいきません。
今日はその理由を、少し丁寧に考えてみたいです。
1.声をかけてもらえると、未来が開ける気がするんです
自営業にとって、営業は本当に大変です。
商品やサービスをつくる力とは別に、
「それを必要な人に届ける力」が必要だからです。
自分では、これまでいろいろ積み上げてきた。
経験もある。
問題解決のコンテンツもある。
ありがたいことに、お客さんから声をかけてもらえることもある。
それでも、一人でやることには限界も感じる。
「もっと広げたい」
「もっと役立てたい」
そう感じる時期があります。
そんなタイミングで、
「そのコンテンツ、すごいですね」
と言ってくれる人が現れる。
しかも相手は営業に自信がある。
これから独立して、営業を軸にやっていきたいと言っている。
そして、こちらのコンテンツを見て
「売らせてほしい」
とまで言ってくる。
これはもう、期待してしまいます。
渡りに船だと思ってしまいます。
自分は中身をつくれる。
相手は営業できる。
役割分担ができれば、きっとうまくいく。
そう思いたくなるんです。とてもよく分かります。
2.一緒に形にし始めると、こちらは本気になるものです
相手から
「どういうコンテンツがあるんですか?」
「こういう提案はできますか?」
「ああいう切り口はありませんか?」
と聞かれれば、こちらも真剣に応えます。
業務改善に沿ったコンテンツを整理し、
中小企業向けの提案書をつくり、
求められれば新しい材料も追加していく。
こうして、少しずつ「共同プロジェクト」の形ができていきます。
でも、この段階で気づきにくいことがあります。
それは、
こちらは“事業を前に進めるため”に動いているのに、
相手は“自分に必要なものを手に入れるため”に動いているだけかもしれない
ということです。
ここが、すごく大事な分かれ道なんですよね。
3.誰もが、自分中心で動いているんです
これは少し冷たく聞こえるかもしれませんが、現実として
人はみんな、自分の目的を中心に動いています。
もちろん、それ自体は悪いことではありません。
むしろ自然なことです。
問題なのは、
お互いの目的が一致していると思い込んでしまうこと
です。
こちらは
「一緒に広げていこう」
と思っていた。
でも相手は
「自分がコンサルになるために、必要な情報や材料を集めたい」
と思っていた。
このズレがあると、途中から前に進まなくなります。
提案書はできる。
話は盛り上がる。
でも、実際の営業は進まない。
案件化もしない。
約束も曖昧なまま消えていく。
そして後になって、
「あの人は悪気があったわけじゃないんだな」
と気づくこともあります。
ただ、自分が欲しかったものを手に入れただけ。
本人にとっては、それで目的達成なんです。
一方でこちらは、
情報を出し、
時間をかけ、
労力をかけ、
期待まで乗せてしまっている。
この差が、あとからじわじわ効いてくるんですよね。
4.「いい人そう」だけでは、一緒に仕事はできません
ここで大事なのは、相手が善人か悪人かではありません。
仕事において必要なのは、
気持ちのよさよりも関係の設計です。
一緒に何かをやるなら、最低限、次のことは決めておいた方がいいです。
@誰と、どのような関係をつくるのか
・単なる紹介者なのか
・販売代理なのか
・共同事業者なのか
・一時的な協力者なのか
ここが曖昧だと、期待だけが膨らんで、責任はぼやけます。
A信頼できる人なのか
・これまでどんな仕事をしてきたのか
・約束を守る人なのか
・実際に動く人なのか
・話の熱量と行動量が一致しているのか
言葉より、行動を見たいところです。
B収益とコストの分配はどうするのか
・何が売れたら、いくら分けるのか
・提案書作成の工数は誰が負担するのか
・交通費や営業コストはどうするのか
・途中でやめる場合はどうするのか
ここを先に決めるのは、いやらしいことではありません。
むしろ、お互いを守るために必要なことです。
5.本当に大事なのは、「一緒にやれる人」を見極めることです
自営業では、孤独を感じることがあります。
だからこそ、手を差し伸べてくれる人がいると救われます。
その気持ちは、とてもよく分かります。
でも、
近づいてくる人がいることと、
一緒に進める人がいることは、同じではありません。
話を聞いてくれる人。
褒めてくれる人。
可能性を語ってくれる人。
そういう人は現れます。
でも、本当に大切なのは、
具体的に責任を持って動ける人かどうかです。
熱く語る人より、
小さくても実際に動く人。
大きな夢を見せる人より、
条件を明確にして前に進める人。
そこを見極められるようになると、
無駄な消耗はかなり減ります。
最後に
優しさだけで組まないことは、自分を守ることでもあります
昔の自分に声をかけるなら、こう言いたいです。
嬉しくなるのはいい。
でも、その場で信じ切らなくていい。
相手の言葉を受け取りつつ、
一度立ち止まる。
条件を確認する。
役割を決める。
先に出すものを絞る。
それだけで、ずいぶん違います。
人を疑えということではありません。
むしろ逆で、
長く健全な関係をつくるために、最初に曖昧さを減らしましょう
ということです。
まあ、若かったんです..
何事も、失敗からの学びです。
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