【今回のテーマ】
成功報酬でやってくれと言うが、自分は思い付きをだけ..何もしない
というお話です。
「いいアイデアがあるんです」
「これ、絶対いけると思うんですよ」
「成功したら払うので、まず形にしてもらえませんか?」
こんな相談を受けて、なんとも言えない疲れを感じたことはないでしょうか。
相手はとても熱く語っています。
こちらも最初は「面白そうですね」と聞くのですが、よくよく話を聞いてみると、
そこにあるのは事業計画ではなく、まだ輪郭のぼんやりした思い付きだったりします。
しかも、具体化も、検証も、企画書づくりも、協力者集めも、なぜか全部こちら任せ。
条件は「成功報酬で」。
これ、受ける側からすると、かなりしんどいんですよね。
成功報酬そのものが悪いわけではありません
まず誤解のないように言うと、成功報酬という仕組み自体が悪いわけではありません。
成果が出たときに報酬が発生する。
これは、依頼する側にとってはリスクを抑えられる方法ですし、
受ける側にとっても大きな成果が見込めるなら、魅力的な契約になることもあります。
ただし、それが成立するためには大事な前提があります。
それは、
何をもって成功とするのかが明確であることです。
企画書が完成したら成功なのか。
協力者が集まったら成功なのか。
テスト販売まで行けたら成功なのか。
売上が立ったら成功なのか。
黒字化したら成功なのか。
ここが曖昧なまま「成功したら払います」と言われても、受ける側は動きようがありません。
成功報酬は、本来、成果の基準が共有されて初めて成立するものです。
そこがないままでは、ただの「無償で先に全部やってください」になってしまいます。
欲しいのは企画書ではなく、事業化の代行です
こういう相談を聞いていると、相手が本当に求めているものは、
単なる企画書ではないことが多いです。
「アイデアを具体化してほしい」
「事業の形にしてほしい」
「足りない視点を補ってほしい」
「人に説明できる資料にしてほしい」
「できれば、そのまま動き出せるところまで持っていってほしい」
つまり、欲しいのは紙としての企画書ではなく、
曖昧な思い付きを事業に変える仕事そのものなのです。
これは、かなり重い仕事です。
誰のどんな課題を解決するのか。
その課題は本当に存在するのか。
お金はどこから入ってくるのか。
競合との差は何か。
最初に何を試すべきか。
誰が何を担うのか。
どこにリスクがあるのか。
こうしたことを一つひとつ整理していく必要があります。
外から見ると「ちょっとまとめるだけ」に見えるかもしれません。
でも実際には、思い付きを構造に変える、かなり知的体力のいる作業なんですよね。
「頭の中ではできている」が一番危ない
依頼する側は、よくこう思っています。
「自分のアイデアは価値がある」
「仕組みは頭の中ではできている」
「あとは分かりやすく書けばいいだけ」
「だから簡単な仕事のはずだ」
でも、頭の中にあるものは、たいてい綺麗に見えます。
矛盾も、抜けも、実行上の摩擦も、まだ表に出ていないからです。
ところが、それを言葉にして、
人に説明できる形にしようとした瞬間に、いろいろな問題が見えてきます。
「それは誰が買うのですか?」
「本当にお金を払う人はいますか?」
「似たサービスはすでにありませんか?」
「最初の顧客はどうやって見つけますか?」
「必要な人や資金はどうしますか?」
ここで初めて、「あれ、思ったより簡単じゃないぞ」と気づくわけです。
本人の中では、もう事業が始まっているつもりかもしれません。
でも他人から見ると、まだ思い付きの段階で止まっていることがあります。
このズレが、とても大きいのです。
自分で動かない人ほど、成功報酬と言いやすい
少し厳しい言い方になりますが、「成功報酬で」と軽く言う人ほど、
自分では動いていないことがあります。
調べていない。
試していない。
人に聞いていない。
数字を見ていない。
仮説を立てていない。
断られた経験もない。
でも、「これ、いけると思うんですよ」と言う。
もちろん、思い付きは悪いものではありません。
むしろ、すべての事業は小さな思い付きから始まります。
ただし、事業にするには、その先が必要です。
調べる。考える。試す。直す。人に相談する。断られる。また考える。
そういう泥くさい工程を通らなければ、アイデアはアイデアのままです。
「アイデアは出した。あとは誰かが汗をかいてくれたらいい」
この姿勢では、なかなか前には進みません。
事業を動かすのは、思い付きそのものではなく、
思い付きを疑い、磨き、形にしていく覚悟だからです。
まずは自分で問いを立ててみる
今なら、AIを使って自分のアイデアを深掘りすることもできます。
「このアイデアの顧客は誰か」
「どんな課題を解決するのか」
「収益源はどこか」
「競合との差別化は何か」
「実行までの最初の一歩は何か」
「成功の定義をどこに置くべきか」
こうした問いを投げるだけでも、自分では見えていなかった穴が見えてきます。
AIは、思い付きを立派に見せるためだけの道具ではありません。
むしろ、思い付きを疑い、育てるための壁打ち相手として使うと、とても役に立ちます。
誰かに「成功報酬でやってください」と頼む前に、まず自分で一歩動いてみる。
それだけで、話の質は大きく変わります。
そして、もしあなたが頼まれる側なら、そのアイデアがまだ思い付きなのか、
もう仮説になっているのかを見極めてください。
成功報酬が悪いのではありません。
問題は、成功の定義も、覚悟も、行動もないまま、相手に全部背負わせてしまうことです。
思い付きは出発点としては素晴らしいです。
でも、出発点のままでは事業にはなりません。
そこから先を誰が担うのか。
その覚悟が見えるかどうか。
結局、そこがすべてなんですよね。
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