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可能性をデザインせよ!

社長の依頼と要求が違うと悲劇

『○○子ちゃん、ワープロ頼むよ』と社長が依頼しました

幼稚園や保育園に遊具を販売する会社が新しい仕事のやり方を考えました。
その会社では、ブランコ・滑り台・シーソー...
などの遊具を販売しているんですが、売上げが不安定です。
遊具は一回買ったらなかなか壊れません、頻繁に買うものでもありません。
いつも山に狩に行くように獲物を探す毎日です。
10年たつと、会社の営業マンも以前販売した幼稚園・保育園の担当者も替わります。
売上げが安定しないのが、社長の最大の悩みでした。

そこで、新しい営業方法を考えました。
売るのではなく、リースにすることです。
売上げは安定します。

営業マンが獲得した新規顧客が増えれば、
増えるほど売上げのベースが上がります。

時々、遊具を交換することもでき、顧客との継続的な関係も築けます。
それを、その社長が友人の幼稚園の園長先生に話したら、
子供たちも喜んでくれる良いアイデアだとほめてくれました

さっそく社長は、社員全員を集めて会議を開きました。
そして、そのアイデアを熱く語りました。

会議の終わりに、
『○○子ちゃん、ワープロ頼むよ』...と社長が依頼しました。
決まったことは
 ・近隣の都道府県の幼稚園・保育園名簿を探す....この担当は営業部長
 ・案内文書を作ってDM(ダイレクトメール)を出して、営業を開始する
と、この2つでした。

DMの案内文書を作る必要があります。

社長は、パソコンの得意な事務の○○子さんに、。
『ワープロ頼むよ、わかりやすく作って』と指示しました
彼女も、社長の話を聞いて
 『頑張ります!』と、元気良く笑顔で応えました。

彼女は、翌朝パソコンに向かってDM原稿を作り始めました。
昨日は、あんなに理解したつもりなのに...
いざパソコンに向かって入力しようとすると...?????
何を?、どう?、文書にしたら良いのか?まったくわかりません。

そこで、一緒に聞いていた営業部長に相談しました。
営業部長は『一緒に聞いていたじゃないの?、何がわからないの?』
と、昨日社長が話したことと同じことを話し始めました。

それを聞いた彼女は『具体的なことが決まってないんです』
と話しましたが、質問の意図をわかってもらえません。
営業部長は、『この名簿の園にDM出すだけじゃないか』
何がわからないの?、何が難しいの?と取り合ってくれません。

らちが明かないので社長に聞きに行きました。
社長に
『社長、何にも決まっていないんです。
 DMに何を書けばいいんですか?』
と尋ねました。

社長は、突然話しかけられたので
『.....??』となりました。
昨日、みんなで集まって2時間も説明したのに、
彼女は何を聞いていたんだろう?
と思いました。

社長は
  『○○子ちゃん、昨日の会議でメモ取りながら聞いてたよね?』
  『納得して、みんなで頑張ろう!って終わったよね』
  『何が、わからないの?』
と、やさしく諭すように話かけました。
そして、昨日と同じ話を始めました

でも、○○子ちゃんの聞きたいことは違っていました。
DMに書く具体的な内容を聞きたいのです。
  ・リース契約をどうするのか?...今までやったことが無い
  ・年間数回取り替えるって?何回するの?...そのタイミングは?
  ・取り替えて不満はでないか?
     ..扱っている商品には価格の幅が大きい....高い遊具と安い遊具では?
  ・最初はみんな新しいけれど、古くなったらどうするの?
  ・事故のための保険は?...会社の設備なら保険は必要では?
  ・工事やメンテナンスは?
  ・・・・・・などなど
聞きたいことがたくさんありました。
DMを作るには、意識しておくことが必要だと感じました。

それを、理解してもらえないのです。
具体的なこととして『□□はどうしますか?』と聞くと、
社長はそれは簡単だよ『こうすればいい』と、その場で考えて答えてくれます。
それについては、『あ、そうか!』と思います。

そして、パソコンに向かってDMを作ろうとすると、別の疑問がうかんできます。
また、聞きに行きます。
すると社長は答えてくれるんですが、先に聞いたこととつじつまが合いません。
困りました...

彼女は、
  ”何?”を聞いたらDMをワープロすることができるのか?
  ”どう?”聞いたら社長は答えてくれるのか?
社長に理解してもらうための話し方がわかりません。

あまりしつこく聞いてくるので、
社長は、
  『○○子ちゃん、うちの会社に来て何年だっけ』
  『もう、そろそろ自分で考えて行動できる頃だよ』
  『うちの会社も正念場だから、頑張ってよ』
と、言います。

そう言われても..
彼女は、納得いきません。


何を”依頼”したのか?、何を”要求”したのか?

社長は、
 何を”依頼”したのでしょうか?....ワープロ作業を依頼した
 何を”要求”したのでしょうか?....ワープロされたDM文書を要求した
のです。

○○子ちゃんは、
ワープロ作業を依頼されましたパソコンは得意なので期待に応える実力はあります。

でも、パソコンが得意と言うことと、DM文書の内容を考える力は違います
文書を作成する力があることと、内容を考える力は同じことなんでしょうか?

問題なのは...
新しい仕事の仕組みを具体的なレベルで考える”場”が無いままに、
DMをワープロにしようとしています。
そして、一番力の弱い事務の彼女が叱られました。

でも叱られても、彼女が一生懸命やろうとパソコンに向かっても....
仕事が先に進まないことで、社長は苛立ちます....

彼女も、どうしたら良いのかわかりません。
社長に聞くと、その場で『こうしよう』と答えてくれます。
でも、疑問があるたびに社長に聞かないと前に進めません。
それに、この前聞いたこととつじつまが合わない場面もたくさん出てきます。


これまでと同じ商品で、同じ市場をターゲットとするので、
これまでの延長でできると感じたことが原因だと思います。

新しい仕事の仕組みを具体化しないで、
すぐにDMをワープロしようとしてしました。


必要なことは
 ・新規事業として
 ・新しいビジネスモデルを確立し
 ・オペレーションまでを具体化し
 ・営業の仕方やツールを制作し
と進める必要がありました。


でも、..
その会社では、社長も部長も課長も
それに気がついていませんでした。

私は、当時まだフリーのSE時代でした。
知人が勤めていたので顧客管理や販売管理のシステム化の
打ち合わせで何度か訪問していた時に見聞きした内容です。


結果は..
アイデアは良かったと思いますが..
事業として立ち上がらずに終わったようです。


 仕事を「仕組み」と考えることが必要です!



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